2007/01/23

閑話休題~マカオ・香港旅行(2)

















 以前、香港の観光目的の滞在は1週間に限定されていた。香港で長期に滞在する際、移民局に出向いて滞在日数を申請するか、もしくは、一端、近隣の國に出国し、再入国する必要があった。そんなことから広州やマカオへの日帰りの旅や、後にはタイやヴェトナムに飛んで香港に戻る、といったことを繰り返していた。

 それ以外に、マカオにはdancyuの取材で出かけたことがある。その際、食事情については事前に信頼のおける香港の友人はじめ、綿密に情報を収集し、地元で評判の主要な中国料理、ポルトガル料理、マカオ料理の店を巡り歩き、試食し、吟味し、納得した上で同誌で紹介する店や料理を決めた。

 それまでのマカオ旅行で日本のガイド・ブックを頼りにし、ことごとく失望させられるという苦い体験があったからだ。ちなみに、日本の最新のガイド・ブックを見ると、そうした事情は昔と変わらないようだ。もし、おいしい料理に出会いたいと思うのなら、日本のガイドブックはあてにしないほうがいい。

 ともあれ、dancyuの取材時に見つけ出したのは、翅針が箸の太さほどのふかひれの「天九翅」の料理や「烏骨雞」でダシをとった上湯を看板にする「西南飯店」。
 マカオという土壌に根付いたポルトガル料理を看板にする「坤記餐庁」。塩味をしっかり利かせた同店の料理の数々は、東京の下町に根付いた洋食店のそれをほうふつさせる独特のスタイリッシュな美学が貫かれていた。
 もう1軒、ポルトガル人夫妻がオーナー・シェフを務めポルトガルの郷土料理を看板にするコロアン島の「Cacarola」である。

 今回、「西南飯店」にも出かけられなかった。「坤記餐庁」も、どうやら休業してしまった様子だった。それに「Cacarola」もなくなってしまっていた。
 そして今回のマカオ・香港の旅のコーディネイターを務めてくれた香港の知人のジョイス・ワンが探し出してくれたのが「solmer」だ。

 店のたたずまい、サーヴィス、客層から即座に老舗とわかる風格がある。料理も実に充実していた。
 
 戻した干しダラとジャガイモによるコロッケ風のバカリャウは質実そのもの。サクっとした衣の歯ざわりが物語る揚げ方の巧さ。素朴な味わいながら、香ばしい風味が口中に広がる。

 マカオソールのディープ・フライも、カリっとした衣と緻密な肉質の対照に、思わず頬が緩む。これまた風味が豊かだ。

 そして、きわめつけといえるのが咖哩蟹、カレー・クラブだ。青蟹の一種、雄蟹の肉蟹をカレー味で料理した一品だ。蟹肉も旨い。が、それ以上に、ホット&スパイシーで、なおかつ肉蟹のエキスを含んだスープが旨く、思わずご飯を注文し、即席のカレーライスを存分に味わった。