2007/01/02

甘健成著「鏞樓甘饌録」


 これが甘健成氏の「鏞樓甘饌録」。
 四季折々の行事、それに即した料理、旬の素材やそれを使った料理の数々などのエピソード、外国への食旅行記なども掲載されている。
 「鏞記」といえばどのガイドブックを見ても「焼鵞」と「皮蛋」の話が中心だが、健成氏は伝統的な郷土料理、それも宴会料理から惣菜の類までを掘り起こし、再現し、さらにはその現代化を実践するなど、実に意欲的な人物である。

 先の「団年飯」のエピソードだが「春節」を前にした「除夜」の前後、一年の締めくくりとして従業員一同にねぎらいの宴がもたれるという。

宴席のメニューは以下の通りだ。

「一團和氣~紅焼元蹄」
「嘻哈大笑~乾煎蝦碌」
「發財好市~髪菜蠔豉」
「紅皮赤壮~脆皮焼肉」
「満地金銭~蠔油北菇」
「包羅萬有~紅扒鮑片」
「和氣生財~生魚菜湯」
「雄啼顯貴~蜆介肥雞」
「年年有餘~薑葱鯉魚」

 縁起を担いだ料理名、そして、その内容が紹介されている。いずれも広東地方の郷土料理で、しかも、伝統を継承する懐古的な内容なのが興味深い。