「赤阪璃宮」銀座店報告の復活です。
とはいえ気が気でならないニュースが相次ぎます。福島第一原子力発電所での「想定外」というのは、都合の良い言い訳という事実が次第に暴露されていく現実。被害をこうむった罹災地での厳しい生活。駅前や近隣のスーパーでの放射能反応の発表が煽った風評被害に加えて、さらなる一部商品の品薄、がら空き棚状態。補充されたミルクは一家に1本といった制限あり。ミネラルウォーターのビッグボトルには「乳児をお連れの方に限ります」という張り紙が。乳児や幼児を抱える一家には切実な問題でしょう。
ところで、メニュー確認のために「赤阪璃宮」のサイトをチェックしたら「3月21日をもって飯田橋店は閉店させて頂きます」との告知。ということは呉百駒師傳も香港に戻っちゃった?とても残念な話です。
さて、復活「'11年2月の「赤坂璃宮」銀座店~“大分フェア!」、前菜に続いて「椒塩佐口魚 かぼす平目のスパイス揚げ」が登場。「佐口魚」とは平目のことです。
「これこれ、これです!、昨日、TVで譚さんがやってらした料理。近頃は養殖事情も改良や工夫がなされてるってことで、これ、かぼすで育てた平目だそうですよ」。
「料理の怪人」でそんな紹介があったそうな。
「かぼす平目」の詳細を知るべくネットで検索。要約すれば、大分では平目に限らずブリの養殖にもカボスが飼料に加えられているそうで、カボスに含まれるポリフェノールの効果によりブリの切り身の変色や臭みを長時間抑えられ、平目に関しては香り成分のリモネンによって肝の臭みが消える、なんてことでした。
「それにしてもこの平目、でっかい!」。
頭と中骨を残して切り分けて調理された平目の身の厚さからもその大きさ、充分に想像できます。
切り分けられた平目の身の調理、「油浸」なのか、ぷっくりふっくらした肉厚の平目の身の外側はさくさくとした「酥」の触感。噛み締めるとその身はしゅわしゅわ、ねっとりの触感。やっぱり養殖魚特有の脂の乗り、身の柔らかさが感じられる。ですが、ぬめっとした脂っぽさ、身の柔らかさに比べて、養殖魚特有のくせが抑えられているのは確か。もっとも、身にカボスの味、風味が行き渡っているわけでもありません。
それより調理方法を「油浸」にして、味付けは「椒鹽」にしたのが実に正解、というのに納得。しゅわしゅわしっとりねっとりの肉厚の身の味がスパイスの効いた調味で引き立つ感じ。
添えられた山芋(?)の揚げ物。これも外側はさくっとした「酥」の触感。噛み締めるとしっとり、ねっとり。けど、平目の身ほどの締まりはなくって舌にとろけていく。最初の触感は似ていても、味、風味は「山」のもの。
そうか、一皿で「海」と「山」の味、風味を味わう趣向なのだ!なんてことに気づきました。
頭や中骨に縁側部分の外骨、まんま素揚げにしてあります。
「平目」の身に比べれば油が少々重い。ですが「油浸」特有の調理方法のおかげか、縁側の小骨などしっかり火が通っていてかりかり、ぱりぽりの触感。塩味の加減もしっかり。
「これ、ビールのつまみにいいじゃん!」なんて声も上がります。おまけに頭の部分、頬肉が旨そうだ。アテンドの山下さんに持ってきてもらったナイフで頭を切り分け、仲間に勧めたところ即座にまってましたとばかり「うん!」のひと声。おいしいところを知ってる者の狙い目は同じです。
さっそくひと口頬張った仲間「やっぱ、頬肉、旨いわ!」。私もひと口。「うん、旨い。けど、ちょっと油が重くない?」とまあうるさい親父です。
そんな次第でとことん「椒塩佐口魚 かぼす平目のスパイス揚げ」を食べつくしたのでありました。