2009/01/13

追記:踏入冬季~12月の「赤坂璃宮」銀座店の番外編の2

 さて、大藤さんから戻ってきたメールの返事は以下の通り。

○璃宮焼味盤(焼き物の前菜)
○西洋菜陳賢湯(クレソンと合鴨、鶏の干した砂肝のスープ)
○蒜茸蒸中蝦(海老の蒸し物、ニンニク風味)
○枝竹羊肉煲(羊肉と干し湯葉、筍、干し椎茸の土鍋煮込み)
○家郷蒸滑鶏(鶏肉の蒸し物)
○三色蒸水蛋(鹹蛋、皮蛋、鶏卵の茶碗蒸し仕立て)
○咸魚煲仔飯(塩魚と豚挽き肉入り土鍋ご飯)
○自選甜品(杏仁茶、西米焗布甸OKです)

 譚さん、袁さんと相談の上の結果、という話に恐縮!

 「嬉しい!「西洋菜陳賢湯」が食べられるなんて。久しぶりだし、日本の広東料理店で食べるのは初めて!それに「三色蒸水蛋」も出来るんだ!さすが「赤坂璃宮」ね。
 でも、羊と鶏、調理方法と味付けが違うにしても、やっぱり、肉、肉、肉になるから、どっちかやめて、野菜料理が替えたいな。「三色蒸水蛋」があるから「金銀蛋上湯浸時菜」は今回はパスして野菜の炒めもの、シンプルなのがいいから、尋ねてもらえない?」

 ということで、早速、大藤さんに連絡。
「野菜ですと芥蘭、広東白菜、青菜だと豆苗はいかがでしょうか?莧菜、菠菜は生憎、調達が……」との答え。そんなことから、「家郷蒸滑鶏」を「清炒豆苗」に変更。

 さて、当日、まずは前菜の「璃宮焼味盤(焼き物の前菜)」にサプライズ!
 なんと「焼味」の一品に「金銭鶏肝」、鶏の肝、豚の脂身とロースの焼き物があったからです。
 「赤坂璃宮」の「金銭鶏肝」については「「香港的小菜」~11月の「赤坂璃宮」銀座店」で紹介済。
 「これは美味しい!」と、それだけで皆さん早くも盛り上がり。この種の広東料理の焼き物にはうってつけのアルザスのゲヴェルツトラミネールとの相性もばっちり。

 ワインはあまり飲まない、なんて話だった杉山洋子さんにうちのかみさんが、ゲヴェルツトラミネールをぐいぐい。ソムリエの小林さんが空になったグラスに継ぎ足しても、拒否しない。
「をいをい!話が違うじゃん!」なんて言うと、ふたり揃って
「美味しいワインなら、飲めるんです!」

 例湯の「西洋菜陳賢湯(クレソン、合鴨と鶏の干した砂肝のスープ)」。
 大陸の北方育ちの奈々先生、御主人の郭さん「「西洋菜」って「クレソン」のことなんだ!「クレソン」がスープの素材になるなんて、思いもよらなかった!」という言葉に、中国の広さを感じました。
 ともあれ、野菜、果物に肉や家禽類を組み合わせ、杏仁や蜜棗などを加えてひたすら煮込んだり、湯煎蒸しの「燉」にするのは広東地方独得のもの、なんですね。

 「蒜茸蒸中蝦(海老の蒸し物、ニンニク風味)」は、その豪華さ、色合いの美しさに皆さんおおはしゃぎ。火を通したエビの甘味、旨味に、大蒜のヒリカラの刺激がマッチング。うれしいえびの料理ですが、大蒜の使い加減、これまたえびの味、風味が生きるぎりぎり手前の按配。新鮮なえびだからこそのリッチな味、風味です。

 「枝竹羊肉煲(羊肉と干し湯葉、筍、干し椎茸の土鍋煮込み)」は、料理名に「羊」を見つけただけでな奈々先生が「嬉しい!羊が食べられるなんて!」とおおはしゃぎ。さすが中国北方の育ちだけのことはあります。
 「どうですか?広東式の調理、味付けは?」と作ったわけでもないのに私。
 こくのあるしっかりした味付け、そう「柱侯醤」仕立てですから。なのに、くどさがなくってすっきり。しかも、軽い味わいで、風味があります。「この料理、素敵!」と奈々先生。

 「三色蒸水蛋(鹹蛋、皮蛋、鶏卵の茶碗蒸し仕立て)」には平松あぐりさんが感動。香港に何度も通って家郷菜にはおなじみのあぐりですが「私、こんなに美味しい茶碗蒸しを食べたのは初めて!」と、声が裏返る。
 そうです。塩漬けの家鴨の卵の「鹹蛋」、それに「皮蛋」が織り成すクセのある風味と「鶏卵」のリッチな味わいが見事にマッチング。だしの旨さが利いています。

 広東地方の郷土料理の定番的な料理のひとつ。シンプルな料理ですが、日本の茶碗蒸しと同じく下拵えと蒸し加減の見極めが難しい。
 なんてことで、家で作るよりも料理店で注文となるようです。香港の広東系の料理店ではそれに応え、メニューになくても作ってもらえますから。

 それから「清炒豆苗」。蝶々が羽を広げたような格好のまま、つまりは若芽のついた先端部分だけを切り取って炒めたもの。歯ざわり、噛み応えをしっかり考慮した下拵えが行き届いてます。こういうのって「基本の板仕事(包丁仕事)の的確さがすばらしい」と言うんでしたっけ、マッキーさん?
 しかも、炒め方、味付けが絶妙。すっきりとしていて軽い。しかも、香り、風味あります。こいうばやいは「基本の鍋仕事(火の扱い)の的確さがすばらしい」ですねよ、マッキーさん?(笑)
 「こういう青菜の炒めものって、ホント、美味しく作るのって難しいのよね!」と奈々先生。見事な調理だけでなく、上品で洗練された味、香りの豊かさに感動。
 そして「咸魚肉餅煲仔飯(塩魚と豚挽き肉入り土鍋ご飯)」。

 あぐりさん、洋子さんにはおなじみでも、奈々先生、郭さんにとっては初めての様子。目の輝きが違います。

 咸魚は「曹白」。それを別皿に取って、各自好みで取り分けることに。そして、土鍋一杯に敷き詰められた慈姑入りの豚の挽き肉による肉餅とご飯にタレをかけ、しっかりかき混ぜてから碗によそってもらいました。そしたら、鍋底のご飯は焦げ加減で、鍋底にこびりついたまんま。

 「あの、このお焦げ、上湯を足して、炊いてきましょうか?」と大藤さん。
 「ワオ!やってもらえんなら、お願いします!」と私。
 煲仔飯の焼け焦げにタレをかけて食べるのも悪くない。ですが、だしを加え、いわば焦げ茶漬け仕立てにして食べるのも乙なもの。香港の広東料理店、ことに下町の食堂なんかではよくあることです。

 「けど、みんなとっくにお腹一杯ってことだし、「咸魚肉餅煲仔飯」を食べたばかりで食べられるのかな?」なんて心配は無用でした。茶漬け仕立てのお焦げに咸魚を加えると咸魚のしっかりの塩味がいい按配。おまけに風味が増す。誰もが黙々、せっせと平らげてしまったのは、さすがの私も吃驚。
 「お腹が一杯って言ってたのにい!」。

 そしてデザート。かみさんのリクエストの「焗西米露」に「熱杏仁茶」もあります。マンゴプディングもあって「デザートは別腹!」とばかり、皆さん、デザート選びは慎重です。
 奈々先生が選んだのは「焗西米露」。
 「ちょっとたべさせて!」と、それを横目でにらんでいた御主人の郭さん。
 「少しだけね」と麗しい!
 その旨さにうっとりとなった郭さんが「もうひと匙!」。
 ところが「ダメ!」と奈々先生はキッパリ!
 どこの家も、同じなんですね! 

 かくして「赤坂璃宮」銀座店のかみさんの中国語教室の忘年会はお開きとなったのでありました!