2007/06/26

閑話休題~マカオ・香港の旅(24 )

 「生記粥品専家」については、GOOGLE-HKで検索すれば店の歴史、また粥の作り方がいくつかのサイトで紹介されている。

 それらによれば、まず、肝心のだしだが、豚骨、痩肉(つまりは豚の赤身肉)、干し貝柱の瑶柱がその基本。「妹記」のように地魚の「梭羅魚」など、魚をだし作りに使わないのは、豚の内臓や牛肉を具にした粥にはふさわしいくない、という理由があってのことだそうだ。その店、豚骨でとっただしは、具材の持ち味、風味を損なわないからだ、という。

 さらに、米。もともとは大陸産の「絲苗」を使ったいてものの、良質の米が得られなくなって以来、タイの香米に代えたそうだ。

 まず、だし作りは、店の営業が終わる夕方頃からで、1時間ほど煮込んで作り、一旦、火を落とす。その後、午前2時に店にもどり、だしに火を入れなおし、そこに米、腐竹を加えて煮込むこと3時間。店によっては砕いた米を使ったりすることもあるそうだが、「生記」では、ともかく原米から米が「開花」するまでじっくり煮込む。肝心なのは火加減、だそうである。

 「生記」で評判なのは「魚骨魚腩粥」。「鯇魚」のアラ、腹身肉を具にしたものだ。「鯇魚」が新鮮なことはいうまでもなく、確かに旨い。私の好みは「綾魚」のつみれの「綾魚球」と「鯇魚」の腹身の「魚腩」を組み合わせた「魚腩魚球粥」。ここの「綾魚球」は実に旨い。

 さらに、豚の内臓類も新鮮であるだけでなく、しっかり吟味されていて「及第粥」も評判だが、それに「鯇魚」の腹身の「魚腩」を組み合わせた「魚腩及第粥」というのも人気がある。ヴァレンタインに素敵な本を贈ってくれたミッシェルの好みの一品だ。

 それ以外に「生記」には「綾魚」のつみれを煎り焼きにした「香煎魚餅」というのがあって、少々油っこいが、風味があって旨い。そこまで書くと「鮮蟹粥」を忘れてませんか?」と「生記」マニアから突っ込みのチェックがありそうだ。

 それにしても「妹記」と「生記」の「粥」の味、風味は対照的だ。「妹記」の「粥」はねっとりとしていてコクがある。が、だしはすっきり、さっぱり。一方、「生記」の粥はきめ細かでさらりとしているが、だしはしっかり。たしかに、豚の内臓類、牛肉類をひきたてる味だ。いずれにしろ「粥」の炊き加減、舌触り、さらに、だしの按配、そのバランスが見事にとれていて、美味、風味を生み出していることには違いがなく、実は甲乙つけがたい。「粥」を食べるとなると、私はその日、その時の気分で「妹記」か「生記」を選ぶ。
文藝春秋別冊号の記事では実はその2店を紹介するつもりだったが、スペースの関係などもあって「妹記」だけの紹介と相成った。

 ところで「生記粥品専家」の近くに「生記清湯牛腩麵家」がある。「生記」の経営者だったか家族だったか、あの「九記」、さらには「太利」に倣ってはじめた「牛腩」が評判の店だ。私はまだ試していないが、かなりいける、とのこと。それより「牛腩」をはじめたこと、それに、米を大陸物からタイ産のものに代えたことなど、「生記」の欧さん、もしかして潮州人なのだろうか、とそんなことが気になっている。今度、取材していろいろ話を聞くつもりだ。 「妹記」と「生記」。「粥」はどちらかといえば苦手な私が、その旨さを知って香港の「粥」にはまってしまった2軒だ。いや、それ以外にも・・・