2011/06/02

ゴールデンウィークにいいもん聞いた~その5

5月6日には長野のBIGHATで小田和正の『KAZUMASA OSDA TOUR 2011 どーも どーも その日がくるまで』。
3月に発表された小田和正の『どーも』。内容充実の素晴らしいアルバムです。表題は小田和正がステージに現れる時のいつもの挨拶、でしたっけ?ともかく、気軽な感じですが、その内容、表題とは裏腹に、意味深くて、味わい深い。

作品のいつくかの断片はCFやTVの番組などで馴染みもの。ですが、ひとつひとつの作品、アルバムそのもの、全体を通して耳にすれば、まったく印象が異なります。そのメロディー、歌詞、演奏、サウンド展開は充分に吟味されたもの。
しかも、その歌詞から浮かび上がるのは小田和正のこれまでの足跡を踏まえ、今、さらには明日を見据えた明快な視点。小田和正そのものが浮かび上がる。

70年代初期のシンガー=ソング・ライター風を思わせる懐かしさが甦る作品をはじめ、そのひとつひとつがそれを歌うにふさわしい楽器を小田自らが手にして歌い、様々な演奏、サウンドを展開、というあたりも面白い。

そのすべてにおいて、核になっているのが、小田の作品と歌。同時にそうした歌詞、作品は、世代を超えて共感しうる普遍性、深さ、訴求力、説得力がある。というあたりが見事です。しかも、J-popの成熟を物語るものであり、その頂点を極めた作品というにふさわしい。実に見事なポップ・ヴォーカル・アルバムです。

そんな作品の中には奇しくも今回起きた東日本震災の罹災者、また、救いの手を差し伸べようとする人々にとって、意味のある歌でもあった。実は、これまでに小田和正が手がけ、歌った作品には、今と明日をみつめ、聞くものを勇気付け、エールを送る歌をてがけ、歌い続けてきた。

今回の出来事との遭遇に小田自身、今回のアルバム『どーも』、さらにはその発表に併せてのツアーを実施するかどうか、思い悩んだ末にアルバムの発表とツアーの実施を決断、という経緯もあったそうです。

長野のBIGHATでのツアーでの初日に出かけたのはそんな小田和正の今の思いを知りたかったからです。そして、目の当たりにしたコンサート、思いのほか小田和正の心は揺れてる様子でした。

東日本震災が起きる前、準備していたツアーの内容を改めて熟慮。手探りで新たなスタートを切ったことがとうかがえ、PAを含めてまだ未消化なところも散在。 「hello hello」では思い余って歌に詰る場面も。

それでも、最後には「明るく、最後まで、笑顔で走り抜けます!」と宣言。
誠実でひたむきな小田和正の人柄が現れてました。
人との絆、そんなことが思い浮かぶ公演でした。