2010/10/11

「赤坂璃宮」銀座店記憶メモの1~真夏間近~10年6月の「赤坂璃宮」銀座店

 今頃になって6月の「赤坂璃宮」銀座店での月例のメニュー紹介なんて、間の抜けた話ですが、やっぱり、記録に留めておきたい。ですが、4ヶ月送れですからいつもより手早く簡潔に。
 まずは「前菜四拼盆/前菜四種の盛り合わせ」。
 画像、右から文旦、豉椒鶏、叉焼、焼肉、みょうが、金糸瓜、パプリカ。奥が海蜇。

 「ウォ、肉の切り方、前よか厚くなってる!」なんて声が上がります。
 そうです、伊達鶏の辛味醤油漬け、皮付き豚バラ肉の焼き物、切り方が分厚くなってしっかりした歯応え。

 TVのバタラエティや食関連の番組で、タレントや芸人の食べ歩き、それも肉の試食で開口一番「柔らかい!」とのたまう御仁の多いこと多いこと。

 「柔らかい」ってのが「美味」の表現に定着してしまったのには恐れ入ります。 そうした方々がほめそやす「柔らかさ」ってのは、実は肥育された牛肉だからじゃないですか?
 本来、肉は噛み応えのある弾力があるもの。それを噛み締めてこそ、肉の味わい、風味があるのをご存知ないらしい。

 もっとも「美味」ではなく「美食」の観点、しかも、中国の宮廷料理の歴史を紐解けば「柔らかさ」というのは、様々な触感の中でも重要なポイント、だったのは事実。
 なんせ、宮廷のやんごとなき方々の多くは生(性)への執着から滋養強壮になるものはなんでも。

 とはいえ、多くは御老齢なんてことから、柔らかい触感というのは必須の条件のひとつだったわけです。なんてことからすると「柔らかさ」をほめそやす、タレント、芸人の方々は、やんごとなき方々と嗜好が御同様? な、ばかな!

 ところで、今回の前菜、叉焼、焼肉の皮のパリ感、噛み応えはしっかりで味わいあり。
 ですが、辛味醤油漬け、前々からちょいと気になってことですが、皮が薄く、皮裏の脂肪質も足りないせいか皮のぱり、さく感が乏しいのと、肉質が緩い。すっと歯が入るような弾力がないのが物足りない。

 付け合せの「くらげ」は、ぽりぱりの触感が良かった。もっとも、少々塩加減が強めなのがきになります。
 野菜類はそれぞれ少量ながら、金糸瓜、パプリカ、素材の生かし方、ばっちりでした。
 それから文旦、沙田柚の「柚皮」を元に、それと種類が同じ日本の文旦の皮を干したものを戻したんでしょうか。 詳細は尋ねませんでしたが、味付けはともかく、じゅわしゅわの触感「鋭い!」と思いました。

 そして「湯」。いつもなら季節の具材を取り入れ、日常素材と組みあせて長時間煮込む「老火湯」か、湯煎蒸しにする「燉湯」ですが、今回は「蟹肉冬瓜羹/蟹肉と冬瓜のスープ」

 「蟹肉」に、体熱をさげてくれる効果のある「冬瓜」を組み合わせたもの。

 「火腿」の千切りがさりげなくその存在を発揮。
 しかし、なんといっても「だし」、それも上質の「上湯」の旨さ、風味が光っています。

 洗練された気品、風格のある奥行き深い味わいが、食べ進むごとにじわじわひたひた押し寄せてくる。もうお手上げ!

 「わ、これすごいや!」と、思わず唸ってしまう見事な「湯」でした。