そして、大物どころのコンサートをいくつか紹介。
まずは人見記念講堂での井上陽水。バックはキーボード二人にギターという構成で、ベース、ドラムスの参加はなし。う~ん、これまでにもバックの構成を色々模索、実践という経歴のある井上陽水。ですが、リズムの要になるはずのベース、ドレムレスというのはなんとも意外。狙いは浮遊するようなアンサンブルだったんでしょうか。
ところが、開幕しばらくPAの按配が悪くって、一体どうしたの?と慌てふためきます。ですが、弾き語りからあたりから調子を取り戻し、あの朗々としていて妖しい魔力を秘めた歌声を堪能。新作『魔力』が抜群に素晴らしくって、面白くって、楽しみにでかけたんですが、いまひとつ盛り上がれず。
それから竹内まりやの10年ぶりのコンサート。ウェストがしっかり締まったすらっとした長身の細身姿もさることながら、喉、声の強さや声量、細やかな表現にぞくっと身震いするような表情の豊かさに圧倒されました。
日頃は主婦業に専念し、その合間をみつけて作詞、作曲活動、という彼女ですが、何よりも彼女の歌、歌声が魅力的。カラオケ歌って鍛えてます、なんてのではなくてストイックに歌を追求、なんて日頃の隠れたる努力や鍛錬、心がけがなければあの歌声はありえない!と思いました。
そして、今年は『夜会』がお休みの中島みゆきは全国巡演のコンサート・ツアー。その選曲がなかなか憎い!新作『真夜中の動物園』も素晴らしかったですが、歳をとればとるほど歌に深みがましていく、なんてのを目の当たりにしました。
そうそう、幕開け早々、聞こえてきたドラムスに耳をとられました。その音、まぎれもなくジム・ケルトナーのそれ。「え!どこどこ?」と思わず目を凝らしたら、なんとドラムスは島ちゃんこと島村英二。スネアのスナップのちょいルーズな感じ、ロール、フィルインの深いニュアンス、キックのずしりとくる深さと重み。ジム・ケルトナーじゃなくって、島ちゃんそのものでした。
残念ながらムーンライダーズやあがた森魚のステージは見られずじまい。
ですが、来年1月発売される鈴木慶一とムーンライダーズの『火の玉ボーイ』の最新リマスタリング作とあがた森魚の『俺の知らない内田裕也は俺の知ってる宇宙の夕焼け』の解説を執筆。ことにあがた森魚の新作、めちゃお気に入りです。