2007/04/29

閑話休題~マカオ・香港の旅(22)




 どうもPCの調子が悪い。漢字変換の具合が途中でおかしくなる。繁体字や標準文字以外の漢字表記が多いせいなのか。といって、それなしで香港や中国料理関係のことについては書けないのだから、お手上げ状態です。
 そんな間に、過日、尖沙咀、厚福街の「洪利」のリニューアル話を伝えてくださった東山堂ベーカリーの原田さんのブログに「妹記」の動画が!
 とりあえず、http://ameblo.jp/tozando/に行って、「下丸子ではたらく66歳の社長のブログ」をクリック。香港特集パート7に「妹記」が紹介されています。それも「粥」作りの作業まで撮影、ってのがすごい。
 原田さんの動画でもわかるように「妹記」の「粥」、あらかじめ作り置きしてある大きな粥鍋とは別に、小ぶりの銅鍋が用意してある。
 たとえばこの店の名物、「そう魚/鯇魚」の腹身の部分を使った「魚腩粥」。油を鍋に注ぎ、「鯇魚」の腹身の両面を「煎」する。表面に焼き色が付く前に、別の銅鍋で煮立ておいた「粥」を注ぎ入れ、ひと煮立ちさせる。「粥」と具を別鍋で準備。しかも鍋は熱効率の高い銅鍋を使用、というのが「妹記」の「粥」の特徴。旨くて、香りが豊かな秘訣、ってことです。
 それ以前に、基本の「粥」作りもこの店ならではの工夫がある。使う米は「絲苗米」。で、だし。基本は小ぶりの地魚の「梭羅(どうやらデンジクダイ属のいしもちの一種らしいが、厳密な学名や和名は不明)」をふんだんに使ってだしのベースを作り、豚骨や豚の舌、それに陳皮などの香辛料に湯葉を加えて煮込んだもの。
 で、米10に対してだし7の割合で6時間かけて「粥」を作り、それを先に触れてきた要領で注文に応じて銅鍋で再度煮立む、というのが「妹記」の「粥」。すっきりとしただし。「粥」そのものは、ふっくらとした仕上がりで、独特の触感、滑らかさ、それに、どっしりとした重量感がある。
 具についていえば、最も人気があり、評判を呼んでいるのが先にも触れてきた「そう魚/鯇魚」の腹身の「魚腩」。地元の「粥」通の間では、香港一として挙げる人も少なくない。この店の「鯇魚」は、その鮮度、質の良さが知られ、それが評判を呼んでいる理由のひとつに挙げられるほどだ。もちろん「鯇魚」の皮を湯引きし、生姜の千切りと一緒に出される「魚皮」も人気の品だ。
 さらに「魚腩」に手作りの豚肉のつみれの「肉丸」や、牛肉のつみれの「牛丸」を加えた「魚腩肉丸粥」、「魚腩牛丸粥」も評判だ。
 そして、「鯇魚」、「肉丸」、「牛丸」の「粥」とともにこの店で見逃せないのが「皮旦痩肉粥」。「皮蛋」に塩漬けにした豚の赤身肉を加えた広東粥の定番的なメニューだが、豚肉の下拵えの按配、それに、だしの味がしっかりした「粥」と一体化し、醸しだす味わいと風味は、穏やかで優しい。
 「魚腩粥」の野性味のある味、風味とは実に対照的で、奥床しく、上品で洗練されていて、味わい豊かです。
 画像は原田さんが撮影した「妹記」のメニューとキッチンの様子です。

2007/04/20

閑話休題~マカオ・香港の旅(21)


これが文藝春秋臨時増刊号の表紙です、と画像をアップするつもりが、PCトラブル発生!
 早速、修理に出しましたが、その間、代替機に使ったPCが古く、ブログの更新どころか、日常のメールのやり取り、原稿書きにも支障をきたすような状態でした。ようやく、PC復帰。
臨時増刊号、発売からかなりたってしまいましたが、ムックですのでしばらくの間は店頭にある模様。ですが、店によって置いてある場所が違う様子、というのがちょっと厄介なのですが。
 さて、「麵屋」話に続いて「粥屋」話。と言いたいところだが、私、日頃から「粥」を滅多に食べない。そんなこともあって香港でも「粥屋」には滅多には行かないし、出向く店も限られている。
 とはいえ、香港に出かけるという方から、店の情報やコースの組み立ての依頼があった際、あわせて「粥屋」の情報をと、所望されることが多い。反対に「麵屋」についての情報のリクスエストは滅多にない、と言っていい程だ。

 どうやら「香港人の朝食はお粥」、「香港に行くなら、朝食はお粥」というイメージ、定説が今だに定着し、圧倒的多数を占め、それを信じて疑わないことによるものらしい。そうしたイメージ、定説は、間違いなく日本で、また香港を旅行する日本人によるものだ、と言っても過言ではないようだ。
 たとえば、「粥」を紹介した香港や中国のサイトには「「粥」は日本人が好んでやまないもの。さらに加えるとすれば、潮州人もそうである」と言った記述を見かけることがある。それにしても、いつ、誰が「香港人の朝食はお粥」、「香港に行くなら、朝食はお粥」といったことを紹介し、それが定着してしまっただろう。おそらくは、日本人の粥に対する親しみや、それを朝食にし、また、地方の名物になっていたりすることに、関係しているのではないか、と思う。
 むろん、香港にだって朝食に粥を食べる人はいる。が、粥だけが香港の、香港人の朝食でないことは、拙著「香港的達人」はじめ、雑誌の香港の食の特集などで何度もふれてきたことだ。「粥」ではなく、米の粉を蒸して作った「腸粉」を食べるという人もいるし、朝食にはむしろ「腸粉」を好む人が多いようだ。そういえば、啓徳空港時代の話だが、早朝の「美心餐庁」やビュッフェでの人気メニューは「粥」ではなく「腸粉」。順番を待つ人の列がそれを物語っていたものだ。
 それより、夜食の「宵夜」に「消化にいいから」という理由から、「粥」や「腸粉」を食べる、という人は案外多いようだ。その理由が物語るように、香港でも「粥」は消化のよさ、胃への負担のなさというのが重視されている。
 
 日本の各地に名物の「粥」がある。それも、朝食にうってつけ、ということで、私も一応それらを試したことがあるが、なんだか、物足りなかった。それよりも、「粥」といえば、「病気の時」、あるいは「病み上がり」の時の食事というイメージがある。実際、私が「粥」を作り、食べるのはそんな時だ。しわしわのしょっぱい梅干を「粥」に入れて食べる。具合の悪い時など、しみじみとその素朴な味わいにひとごごち、なんてこともあるのだが、日頃はそんなことなどすっかり忘れてしまっている。
 香港などでも「お粥は病気か、病み上がりの時ぐらいしか食べない」という人は少なくないのだが、その実態はあまり知られてはいないようだ。 とはいっても「香港に行くなら、朝食は絶対にお粥」というリクエストがある。また、市場調査!という目的から「粥」屋にたまに出かけることがある。もっとも、その大半は、なんだかなあ!と、しっくりこない。口にあわないのだ。
 そんな中で、あそこなら、という店が何軒かある。香港に通い始めた頃、やはり旅仲間に「香港の朝食はお「粥」」と執着する人がいて、しばしば出かけたのが中環の皇后大道中にある「羅富記」だ。それ以外では名前は逸したが銅羅湾にあったいくつかの店に何度かでかけた。
 尖沙咀では、深夜、場所の便利さから厚福街にある「洪利」にでかけたものだ。そういえば、東山堂の原田さんの最新の香港レポートに「洪利」がリニューアル・オープンした、という報告があった。過日のマカオ・香港の旅で、もし滞在先が九龍側ならもしかして、でかけたかもしれない。今度、香港に行ったら試してみることにしよう。
 で、最近のお気に入りの「粥」屋といえば、香港島なら上環の「生記」、九龍なら旺角の花園街市の上にある「妹記」である。