さて、福臨門のふかひれ料理で使われているふかひれの品種、部位について、メニューやサイト、広報のインフォメーションによれば以下のように紹介されている。
①頂裙翅 極上ヒレ 頂勾(金山頂勾)、
②大裙翅 上ヒレ 頂匂(金山頂勾)、
③大生翅/大散翅 横ヒレ (海虎片、もしくは青片)、
④大鮑翅 ヒレ 大匂(金山勾高茶翅(アオザメなど)
⑤荷包翅 ヒレ 中匂(金山勾高茶翅(アオザメなど)
①、②、④、⑤のいずれとも金山勾である。その詳細は太平洋産の高茶翅を主体としたものであり、部位は尾びれ、背びれなどで、大きさ、翅針の太さによって、頂、大、中とランク付けされている。
そのうち⑤の「荷包翅」は、その形態が財布のような形をしているのと、頂勾、大勾に比べてふかひれの形状が小さくなり、翅針も細く、戻した後もふかひれの形態を残しているのが特徴だ。
日本でなじみ深いふかひれの姿煮に使われる「排翅」と同じ形態をしている。
本来は「排翅」と称されるところだが、一般に「排翅」とは主に「牙揀翅」、「摩加翅」の尾びれ、背びれを指すことが多く、それらと品種、品質、触感、風味が異なることから「荷包翅」と表記しているようだ。
③の横ヒレは、胸びれを意味する。
「海虎翅」はそれらの中でも最上位にランクされるものだ。
「青片」は、先の「海虎翅」、「胡蝶青翅」などを除いた大ぶりの胸びれの総称で、サメの品種は多岐にわたる。
もっとも、福臨門で使用しているのは、その内、「沙青翅」、「白青翅」の胸びれである。ふかひれそのものの大きさ、翅針の太さ、触感、風味を重要視してのことだ。
以上は、福臨門のふかひれ料理に使われている品種だが、他に「魚翅灌湯餃」などの点心類などは「五羊翅」が使われている。
「五羊翅」も、形状の大きさ、翅針の太さから、本格的なふかひれ料理にも使われことが多い。それをあえて点心に使うということからも、福臨門がいかにふかひれ料理に関して、ふかひれそのものを吟味し、その特性、持ち味を生かすべく工夫がなされているかが理解できるはずだ。