画像を見て、首を傾げられる方も多いことだろう。
私も目の前にした時、驚いた。そして、思わず爆笑した。
周中の「周菜」での料理は、文春臨時増刊号の発売までお預けなのはなんとも残念だが、いたし方ない。そして、料理の撮影、取材を終え、試食後にテーブルに運ばれたのがこれである。
番外編の料理、裏メニューってことになるだろうか。その名は「上湯公仔面」。そう、「出前一丁」の面を使い、周中お手製の「上湯」で仕上げたものだ。
上に載っかっているのは「煎蛋」、玉子の両面焼きである。おまけとして別皿で周中お手製の「XO醤」が小皿に添えられていた。
今回の旅行のコーディネイターを務めてくれたJOYCEと周中はいつも冗談を言い合うほど仲がいい。「兄弟(とは私のことである)にはちゃんと料理を用意するけど、君には別の料理をしとくから」というやり取りがあったそうだ。そしてJOYCEのために用意されたのがこの「上湯公仔面」。
「火腿」をふんだんにつかった周中お手製の極上の「上湯」は、しっかり塩味が利いている。しかも「火腿」独特の醗酵した旨味、風味もある。それにくらべて、面はいささかぱさつき気味だ。インスタントのそれ、独特のものである。
ところが「煎蛋」を箸でつつくとドロりと流れだす卵黄が「上湯」に混じり、「上湯」の塩味を中和し、スープは格別な味わいのものになる。
それがぱさつき気味の面に絡みつく。そこに、ぶつ切りの「瑶柱」をふんだんに使った周中お手製の「XO醤」を加えれば味が引き締まり、風味が増す。JOYCEが狂喜したことは言うまでもない。極上の「上湯公仔面」、だったのでありました。
周中は、頑固な料理人だが、こんなユーモラスな一面もある。「美女厨房」で評判を得た理由も察せられる。
なにしろ、香港では今や「明星」の仲間入りを果たしたスーパー・シェフの周中である。