2009/06/01

郷土料理が旨い~09年5月の『赤坂璃宮』銀座店の2

 そして「鮮魚二食」ということで「頭腩豆腐湯/ハタのあらと豆腐のスープ」、「油泡球/ハタ切り身の炒め」の2品が登場。

 「鮮魚二食」(もしくは「鮮魚两吃」だったか)というのは、丸ごと一匹の魚を2種の料理方法、味付けで調理、ってことです。たとえば、魚の半身を炒め物に、半身を蒸し物にしたり、煮込みものにする。高級な宴会料理なんかだと「石斑」、「はた」の類がその素材になります。

 そういえば、魚で一番美味しいのは頭と砂ずり、ひれのついた縁側のあたり。なんていうのは、香港、広東地方だって同じこと。日本と変わりありません。たとえば、陸羽茶室など伝統的な広東料理店、高級な海鮮専門の店のメニューにある「紅炆斑腩」はその典型的な料理。大ぶりの「はた」のひれの付いた砂ずりあたりを煮込んだ料理です。「はた」ですから、時価で、値段もそれなり、ってことがほとんどです。

 今回の「鮮魚二食」は、「頭腩」、つまりは、頭の部分、それに、砂ずりの部分やヒレ、中骨でスープを作り、残る身を炒めものにしたもの。「油泡」ってありますから「油通し」ってことになります。

 そんな「鮮魚二食」の登場を喜びながら、素材が「はた!」と知って、驚きました。びびりました。予算オーバーな素材ですから。
 「あの「はた」……ですよね!」と私。
 「はい、いえ、あの、この料理は「やっぱり「はた」じゃないと」と、譚が申しまして!」と、大藤さん。

 確かに。「はた」じゃなければ、この料理の真髄、味わえない。
 ですが……、なんて恐縮しながら、そうだ今回は「赤坂璃宮」銀座店での会食、2年目に突入の1周年記念、だもんね!と、手前勝手な厚かましい解釈。
 すんません!ご好意に預かります!と、すんなり受けちゃうあたり、美味の誘惑に勝てない食い意地の張ったオヤヂです。

 最初に登場したのが「頭腩豆腐湯/ハタのあらと豆腐のスープ」。

 スープ、それにその具は別皿に。じっくり素材をとろ火で長時間煮込んで、味、旨味、風味を引き出す「老火湯」を食べる時のスタイル。  

画像をご覧の通り、白濁、というよりもいくらか薄茶色がかったスープに、豆腐がぷかぷか。




 

 

これがスープの具材。 「はた」の頭や砂ずりなど、あらの部分は「煎」、つまり、煮込む前に煎り焼きにした形跡あり。広東系のこの種のスープで魚を使う時、煮込む前に魚を煎り焼きするのは基本のルール。それ以外に豆腐、広東白菜。それに「皮蛋」まで並んでいたのに驚きました。

 「そうか「皮蛋」、こんな風にして使うこともあるんだ!」とひとりごち。
 お粥の具に皮蛋なんてのはありますが……
 「そうだ!「鯪魚」に「香菜」を煮込んだスープに「皮蛋」が入ってった!」と、九龍城市にあるタクシーの運転手のたまり場になってる食堂での「例湯」のことを思い出しました。

 話がずれますが、徹夜明けに「香菜」たっぷりのスープ、なんてのは香港人がよく言うこと。「香菜」には「気」を鎮める効果がある、からなんだそうで。だから、煙草の吸い過ぎなんかにも、ぴったりだと。

 話戻して「頭腩豆腐湯」、いつもの「老火湯」同様に基本的には穏やかで優しい味。
 ですか、塩味がいつもより利いてる感じ。川魚を素材にした時特有の泥くささとは対照的に「海」の味、「磯の香」がするのは、やはり「はた」だからでしょう。それに、この手のスープに欠かせないのが「広東白菜」。自然な甘味と爽快な味、風味は、間違いなく「広東白菜」のそれ。
 それより、この手のスープ、日本で食べるとやたら生姜の味が濃厚だったりするんですが、そんな感じ、微塵もなし。香味野菜、ふっと、鼻先かすめる感じでどこへやら。そうだ、どんな香味野菜を使ったのか、聞きそびれました。

 それに、穏やかで優しいだけじゃなくて、味わい、緻密で濃厚。
 「はた」を素材にした贅沢な「老火湯」、なんてよりも豪華な一品。
 シアワセな気分になりました!